《探求》

ソフトウェア経済学

経済学は、近代資本主義における「富」に関する学問であり、ソフトウェアに関わる経済活動を説明する原理のよりどころとなり得る分野です。経営学の領域は、利益追求や社会貢献を目的とした企業・組織体に関する方法論を主として扱っています。そして、ソフトウェアエンジニアリングは、ソフトウェアの開発・保守、アーキテクチャ、プロセス、プロジェクトマネジメントに関する知識体系です。
これ等三つの学問・技術領域を背景として、それ等を統合し、『ソフトウェア経済学』では、ソフトウェアに関わる以下の事項を明らかにしようと考えています。 


・ソフトウェア、システム、サービス等の無形財の利用、開発、保守、運用、破棄の総合的な社会/経済的な振舞い
・市場、組織、部門、プロジェクト、チーム、個人の一貫した社会/経済的な振舞い
・価値、価格、費用(コスト)の定式化と、これ等の間の関係

ソフトウェアデザイン論

従来のパラダイムでは、ソフトウェアがもたらす価値、ビジネスモデル、要求の発生プロセス、ソフトウェアの実行による実世界での認識の変化といった事項に対して思考停止していると考えられます。
これはパラダイムシフトです。従来の世界観や価値観は通用しません。ソフトウェアというのは、元来、実世界の問題を解決するものです。既に解かれている同様の問題を、何回も解き続けるということでしたら、従来の、工業的なパラダイムで済むでしょう。実際に、画面のレイアウトや入出力の仕様が決まったら、そのコードを書くことは、手順化されているでしょうし、自動化も可能でしょう。筆者は、このようなパラダイムは、たとえ大規模化や組織化が必要だとしても、本質的な課題はそこには無いと考えています。
実世界におけるソフトウェアのもたらす意味は、人、あるいは、組織にとって主観的であり、多様です。また、ソフトウェアは、人間が創造する人工物(アーティファクト)です。

予測技術

主としてソフトウェア開発(システム構築)に関する見積り予測は、プロジェクトデータの蓄積に基づいて、予測対象のプロダクトの規模・品質などの特性に応じて、どのような工数、期間がかかるかを算出するものです。 データを採取して、そこから何らしかの予測をする理論らしきものがあるとすれば、統計学になるわけですが、多変量解析は複数の変量間の関係から方程式を得るものです。この式が得られてしまえば、パラメタを入力したら、所望の予測値を得ることができるということになります。

ソフトウェア哲学

私は、ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』から『哲学探究』への移行が、学問、そして、世界観の大きなパラダイムシフトだと考えています。ヴィトゲンシュタインがこの後期哲学に至ったのは1930年台前半だと思いますが、多くの哲学者、研究者がこの考え方、あるいは、それに近い考え方に至っています。